【与那国】9月28日の開会から議長が決まらない与那国町議会(定数10)に対して、外間守吉町長が24日、与党議員の説得に初めて乗り出し、25日にも異常事態が収束する可能性が高まった。外間町長は、町民から慣例に沿った与党議長の選出と議会解散の声が高まったことを理由に挙げ、「これまで(与党議員の)聞き役だったが、静観できない状況にある。行政との兼ね合いもあり、与党が議長を取って、明日にも議会を正常化させたい」と語った。これに対して野党側は「与党議長が誕生すれば、われわれもさまざまな協議に応じる」と評価。町議会は25日も議長選を予定し、局面が大きく転換する可能性が高まった。
町議会はこの日、前日から一転して朝から議長選を継続。5回のうち与党の前西原武三氏が2回、野党の崎元俊男氏が3回当選人となったがすべて辞退した。総回数は83回。議場には県内外メディアが大挙して一連の展開を追った。
約1カ月も繰り返された議長選をめぐり、与野党は全体協議や水面下での調整を重ねたが不発。八方ふさがりで先が見えない現状に、外間町長が「説得」という決断を下す形となった。
閉会後、報道陣の取材に応じた外間町長は、この日の退庁後、祖納にある事務所で与党町議と複数の町長支持者、不在が続いている教育長に自身が人選した男性も交えて話し合う考えを明かした。
ただ、与党から議長を選出した場合は少数与党となり、町長が提案した議案が相次いで否決され、与党側が主張していた「野党の強硬」が続く恐れもある。
与党関係者は「充足していない農業、教育委員の人選も含め、交換条件を用意する必要はある。野党が応えるか懐疑的」と話す。
別の関係者は「外間町政の安定運営に向けて、与党から議長を選出後、1年間少数与党を我慢して議長を辞職させる。そして議員の解職請求に踏み切ることも可能」と戦略を練る。
外間町長は「議会を解散し再選挙しても同じような事態を繰り返す。与党側が説得に応じなければそれまで」と話した。