【与那国】議長選出の見通しが立たない与那国町議会（定数10）。議長選挙は19日まで72回に上り、異常事態が続いている。議会勢力の引き合いをめぐり与野党が議長を譲り合う構図に町民は「議員として恥ずかしい」、「最後まで貫き通して」と賛否両論。議会の姿は報道で全国に知れ渡った。前代未聞の展開を受け、各与那国郷友会は取材に「全国に報道され、会員が恥ずかしい思いをしている」、「（議長へ）行事の案内状が送れない」、「議長は与野党で１年交代して事態を収束すべきだ」と早期選出を訴えた。
議長選挙は９月28日の９月定例会の開会から15日間も続き、議席が５対５の同数の与野党は議長を出すと採決で少数になることを避け、くじ引きで当選人となっても双方辞退を繰り返している。
自治機能が停止している議会に対して、一部町民は21日までに議員への解職請求（リコール）から、議会の解散を求める住民投票を視野に入れた運動も進めている。
ただ、改選から１年間は法的拘束力がないことに理解を示し、50代男性は「町議選で掲げていた住民の所得向上などの公約がほごにされている。事態の責任は町議か、その代表を決めた町民なのかを問いたい」と話した。
長引く議長問題に各与那国郷友会も心境は複雑だ。
東京与那国郷友会の野底武信さん（69）は「島に住んでいないので言える立場ではないが」と前置きした上で「報道によって東京でも話題に上り、見識ある方々からお叱りを受けている。議長選の回数を重ねても結果は同じ。全国的な慣例に従って与党が議長を出すべきだ」と憤る。
在沖縄与那国郷友会の東浜金二会長（63）は「住民代表として行政チェックと町民生活について議論するのが議会の役目。解決に向けた議論を尽くしてほしい」と要望。
石垣在与那国郷友会の与那国明弘会長（62）は「他の市町は進み、与那国だけが停滞するのは後退を意味するので極めて残念。町民の生活を考えれば、与野党で議長を１年交代するのも大事」と指摘した。
与党側は23日に海外出張から帰島する外間守吉町長と今後の対応を協議する予定で、野党側は与党の動向を注視する構えだ。