3市町で組織する八重山への国立自然史博物館の誘致に向けた推進委員会(会長・中山義隆石垣市長)は21日午後、第4回「八重山に国立自然史博物館をつくろう」小中高生研究発表会・講演会を石垣市健康福祉センターで開いた。児童生徒が身近な自然に関する12テーマの調査結果を報告、同会から奨励賞を受けた。有識者は「現場でデータを積み重ねていることは素晴らしい」とたたえた。
市民に八重山の豊かな自然の魅力を理解してもらい、誘致に向けた機運を醸成しようという取り組み。八重山の将来を担う小中高生が研究成果を発表する場にもなっている。
今回は口頭で4、ポスターで8テーマの発表・報告があった。このうち、名蔵中学校2年の赤嶺絢萌(あやめ)さんと1年の譜久村英(すぐる)君は、民謡「アンパルヌミダガーマユンタ」に登場する15種類のカニに関する調査結果を発表した。
「15種類のうち13種類を見つけた。すべてを探すにはもっと広い範囲を調べる必要がある」と報告、「潜るときに右に回るか左に回るか、ミナミコメツキガニ10個体の調べた結果、右と左はほぼ同数で、どちらに回るか決まっていないことが分かった。さらに詳しく調べたいという気持ちが出てきた」と述べた。
八重山商工観光コースの生徒は授業「郷土の自然」を紹介し、「開発とともに失われつつある」と指摘。フロアからは「観光客が増えると自然環境の維持が難しくなる」「深刻さを知ることが大切だと思う」「観光によって起きる自然破壊の情報も発信してほしい」との要望があった。
㈱ユーグレナ生産技術開発課主任研究員の井上志保里氏、琉球大学理学部物質地球科学科地学系教授の古川雅英氏はそれぞれ「地元の自然の不思議を調べ、データをとっている。きっと貴重なデータになるので、今後も盛り上がるとうれしい」「一番大事なのは現場で地元で地道に自然の不思議を発見し、データをとること。その積み重ねが次の発見につながる」と期待した。
講演は、井上氏が「ミドリムシから広がる研究の輪」、古川氏が「クジラの目で見た琉球弧の地質とテクトニクス」の演題で行った。
■小中高生研究発表会テーマとメンバー
第4回「八重山に国立自然史博物館をつくろう」小中高生研究発表会のテーマとメンバー。
【口頭発表の部】
▽「名蔵アンパルの紹介と名蔵小中学校の取り組み」名蔵中(2年・赤嶺絢萌、1年・譜久村英)▽「石垣島の河川の水質とそこに生息する生物調査since2014」崎枝中(3年・野里実優、富川裕二朗、丸山葵、2年・立津琉人、野里慎、國仲賢杜、1年・富川翔三郎)、石垣第二中(3年・仲村速斗、2年大江みちる)▽「郷土の自然」八商工(2年・小田島汐音、砂川寿三)▽「石垣島のムカデミノウミウシの研究」八重高(1年・大浜朋笑、大濵珠希、仲田蒼史)
【ポスターの部】
▽「ウミショウブの開花と潮の高さの関係について」野底小(6年・大堀紡、西泊海捺人、5年・中西健一郎)▽「ふしぎなカニたち パート2」海星小(2年・大浦湊丞)▽「大きなヒラタクワガタを育てよう2」川平小(3年・野底洋仁)▽「たねのけんきゅう」石垣小(4年・糸洲綺奏)▽「鳩間島のヤシガニについてパート3」白浜小(5年・西原智章)▽「ロケットの打ち上げ実験その2」石垣第二中(2年・岡部壮良)▽「平成30年度石垣島北部地域の生物多様性について」伊原間中(2年・伊波慧、大城圭申、大本輪宝、小形波蓮、曽我日向太、髙橋大生、友利優来、安倍優希、伊波未香、具志堅快里、砂川生莉、砂川そら、瀧川覚理、嵩原沙輝、田丸日菜、柳澤一華、矢吹あいか、横田ゆらら)▽「石垣島 名蔵アンパルのキバウミニナの研究」八重高(1年・田渕鈴夏)