9月定例石垣市議会(平良秀之議長)は17日の最終本会議で、県が県議会に提案している「辺野古米軍基地建設のための埋め立ての賛否を問う県民投票条例」について「本来の目的から逸脱して一定の政治的主義主張を公費を使用して訴える手段になっている」として反対する意見書を与党などの賛成多数で可決した。野党は猛反発した。宛先は県知事、県議会議長ら。同条例案が県議会で可決、交付されると、投開票事務は予算とともに市町村に委譲されるが、市議会では意見書に基づき予算も否決される公算が大きい。その場合、石垣市で県民投票は行われないことになる。
知事公室辺野古新基地建設問題対策課は、投開票事務の委譲について事前協議で市町村の同意を得る作業を行っており、石垣市など6市が「県議会の審議をみて判断する」などとして保留している。
同課によると、総務省の見解では、市町村には事務を施行する責務があるが、県に強制力はない。このため、担当者は「住民が直接請求した意義は大きいので、市町村に説明して協力をお願いしたい」としている。
中山市長は本会議終了後、県民投票について「先に知事選が行われ、一定の民意が出た後に再度、5億円余りの多額の費用をかけてやる必要があるのか」と疑問を呈しつつ、補正予算化の作業については「県議会の議論の内容をみて判断したい」と述べるにとどめた。
意見書は、砥板芳行氏が提案。「『辺野古』県民投票の会」の直接請求について「米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設計画に反対の世論形成、県知事の埋め立て承認撤回を後押しし、その後の国との裁判を見据え、有利に運ぶ理由を整えることを目的とする内容となっており、一定の政治的主義主張に公費を使用して訴えるもの」としている。
討論では野党4氏が反対、与党1氏が賛成の意見をそれぞれ述べた。採決の結果、12対8の多数で可決した。与党の11人と保守系野党1人が賛成した。与党・公明の石垣達也氏は退席、取材に「公明県本部は4択を視野に入れている。県議会で議決されていないので、私が採決に加わることはできない」と述べた。
■「辺野古米軍基地建設のための埋め立ての賛否を問う県民投票条例」に反対する意見書(一部省略)
沖縄県は、「辺野古米軍基地建設のための埋め立ての賛否を問う県民投票条例」(以下、県民投票)の実施を目指す「『辺野古』県民投票の会」が集めた署名が有効署名数に達し、沖縄県に直接請求を行ったことから、沖縄県は沖縄県議会に対し、県民投票条例案と実施に伴う費用5億5000万円の補正予算を提案した。
沖縄県議会では、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設計画では、「辺野古違法確認訴訟」最高裁判決で沖縄県の敗訴が確定、沖縄県は埋め立て承認撤回などの知事権限を行使しようとしている。
県民投票条例案では、「(目的)第1条で(省略)埋立に対し、県民の意思を的確に反映させることを目的とする」「(県民投票)第2条で、前条の目的を達成するため、本件埋立の賛否について県民による投票を実施する」とある。
この県民投票は、辺野古米軍基地建設のための埋め立ての賛否のみを問うもので、米軍普天間基地移設計画の主眼である危険性の除去について県民の意思を示すものではない。
また、県民投票を直接請求した「『辺野古』県民投票の会」の請求の要旨および同会公式ホームページ「県民投票Q&A」は、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設計画に反対の世論形成、沖縄県知事の埋め立て承認撤回を後押しし、その後の国との裁判を見据え、有利に運ぶ理由を整える事を目的とする内容になっており、一定の政治的主義主張に公費を使用して訴えるものとなっている。
当市議会では、平成29年第4回定例会最終本会議にて、議員提出議案の陸上自衛隊配備計画に関する住民投票条例について、国防や安全保障は国全体に影響を及ぼすものであり、一地方自治体の住民投票は、そぐわないとして賛成少数で否決した経緯がある。
よって当市議会は、「辺野古米軍基地建設のための埋め立ての賛否を問う県民投票条例」に反対する意見書を提出する。
平成30年10月17日
石垣市議会
宛先 沖縄県知事、沖縄県議会議長、地元選出県議会議員