「真実と 人に寄り添う記事がある」を代表標語に15日から今年の新聞週間が展開されている▼年ごとに取り上げられるテーマには、それぞれの時代が色濃く反映される。ネットを中心に社会にフェイク(偽)ニュースがあふれる中、今年の代表標語は真実に裏打ちされた報道がいかに大切であるかを訴えている▼フェイクニュースがまん延し、それがあたかも正論と信じ込まれたら国のありようはどうなるのか。先の大戦への道のりは、国民は正確で豊富な情報に接してこそ、正しい判断を下すことができることを教えてくれる▼戦時中、多くの若者たちを死地におもむかせたものの中には「鬼畜米英」に代表されるにくむべき敵という意識があった。戦争はいつでもこの意識をいやが上にもあおる。どんな形であれ、他国に理由を求めて敵という意識をあおるのはよくない▼新聞人として、心変わりしてはならない鉄則がある。新聞週間の創設に当たった先輩たちの「敗戦という大きな代償を払ってかち得た新聞の自由を、二度とふたたび失ってはならない」という強い思いである▼かたや新聞の使命ともいえる権力の監視は不変である。その最大の教科書の一つが歴史。史実を正しく認識してこそ、同じ過ちは繰り返さず、平和を享受する心豊かな未来は切り開かれる。(鬚川修)
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