「泰平の眠りをさます上喜撰 たった四杯で夜も寝られず」。黒船来航に狼狽する江戸幕府をからかう狂歌である。こちらは平成末。5機の米空軍CVオスプレイの横田基地配備に「本土のオキナワ化」を懸念する論調がある▼普天間にはMVオスプレイ24機が配備され、東洋一の嘉手納基地もある。「沖縄はかわいそうだけど米軍機の墜落、事件事故などの騒ぎはイヤ。自分の所には来ないで」という本音が背後に隠れている▼「オキナワ化」を懸念する前に、日本の実相を知った方がいい。狭い沖縄に米軍専用施設が7割集中していることは県民の常識。残り3割は13都県に分布し、1割は東京と神奈川にある。この現実を知らない都民も多いのではないか▼首都圏上空には1都8県にまたがる巨大な「横田ラプコン(航空管制空域)」があり、米軍が占領期そのままに支配している。この大空を日本の民間機は飛べないのだ▼提供施設内や訓練空域では米軍がどんな訓練をしようと、そこはアメリカ。その治外法権に日本側は一切関与できない▼選挙のたび再三示す沖縄の民意。無視し続ける首相の言う「美しい国」の正体は今なお続く「占領下ニッポン」では。うちなんちゅは「本土のオキナワ化」など望んでいない。「せめて平等な負担を」と求めているだけだ。(慶田盛伸)
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