竹富町は町和牛増頭計画に基づき、本年度から優良妊娠牛の導入を支援する新規事業を開始する。次世代を担う肉用牛畜産農家と農業生産法人の経営安定、繁殖生産基盤の拡充・強化を図るのが狙い。町によると、県内市町村単独での妊娠牛導入は初めて。町は、妊娠牛を導入する農家に上限100万円を交付。額が100万円を下回る場合は、購入額の90%を補助する。本年度は500万円で5農家に補助する。
若手農家が新たに畜産業を始める場合、機械や設備など初期投資に負担を強いられることから、経営安定に向けた支援策として実施するもの。繁殖には雌牛の種付けから出産、出荷まで通常1年半以上かかるが、優良妊娠牛導入でこの期間が短縮され、早期収入が見込める。
町は2017年度から補助額や条件整備を進めており、前年度からの一般会計予算繰り越し分300万円に、本年度当初予算180万円と9月定例会補正予算20万円を追加した。
補助金交付の対象農家は▽石垣島和牛改良組合に自己名義で登録▽申請時の年齢が18歳以上45歳未満―など。ことし4~7月に公募し、8月の選定委員会で選定した。導入牛の売買、譲渡、貸与を禁止し、2産以上の子牛生産に努めるよう求めている。
5農家は、今月中に鳥取県で優良妊娠牛を買い付ける予定。妊娠牛を海上輸送する際、流産などのリスクも懸念されるため、専用コンテナで運ぶ計画だ。
畜産業は町の農業生産額全体の約67%を占める。子牛価格が好調な時期に、新規事業で足腰の強化を目指す考え。
産業振興課の小濵啓由課長は「継続事業を目指したい。若い農家が畜産経営のしやすい環境を整えることで、産業が活性化し、定住促進にもつながる」と話している。